浜辺の診療室から

閑話   自由度・身軽・不義理    老いあれこれ(その2) 

umi
さて、あなたがその職業パイロットだったとしたら、どうだろう。
辞めて一週間が経ち、一カ月が経とうというとき、
あなたは、どういった行動に出るだろう。 
 
ある人は、船舶の免許を取りにいく、といった。
広がる天空の代わりを、大海原と定め、
操縦桿のかわりに、ウッドの舵輪を握るためには、
船を操る免許がいる。 
 
普通免許があるのだからクルマに乗れば? と告げたら、
「そうはいかない」とかれは笑った。
無方向に広がる天空や海原とちがって、
道路という構造物が、行く先を規定する。
だから、ひとくちに乗りものといっても、
飛行機や船舶と、クルマとでは、
「自由度がちがう」。  
 
第一線から身を引くというのは、
それまでしていた仕事を辞めたり、縮小したりすることと
イコールではない。
その人が関わりあってきた世界を、
遥かかなたに遠ざけること。
それにより、いままでになかった自由度を手に入れること、
なのだろうか。
老いびとたちを見ていると、そう思うことがある。 
 
老いるとは、持っている肩書きや資格を捨てながら、身軽になっていくこと。
老いるとは、葬儀の参列を減らし、出す年賀状も減らしながら、不義理になっていくこと。
むかし、誰かがそんなことをいっていた。

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