浜辺の診療室から

閑話   外に出る? 出ない?    老いあれこれ(その5)

高齢者の住処は独居のほか、老夫婦世帯、老父子世帯、老母子世帯など多様だ。
むろん昭和の時代に多かった三世代で暮らす高齢者も、いるにはいる。
ともあれ高齢者やその周辺を眺めているだけでは、何も変わらないから、
まず踏み込み、そののちに向き合う必要がある。 
 
高齢者の環境に一歩足を踏み入れたいのであれば、
その前に、“介入”を許してくれる土壌を築かねばならない。
けれどもそれは、容易なことではない。
「そこから一歩踏み込まれる行為は、望まない」と
少なからぬ老人が思っているら・し・いからである。 
 
ある民間研究所が行ったデータによると、
外部との積極的な交流を望む高齢者は12パーセント、
機会があれば交流したい、とする高齢者は76%いる。
反面、あまり交流したくない高齢者と、まったく交流を望まないとする高齢者の合計は、
12パーセントだったという。 
 
つまり四分の三は、誘いがあれば外に出ていく可能性がある一方、
残りの四分の一は、自ら交流したいと希望する人と、希望しない人とが半々だった。 
 
希望しない理由には、「必要性を感じないから」「相手に気をつかうから」
「そうした行為自体がイヤだから」「得るものがないから」「話が合わなかったから」
といった要素が並ぶ。
家から出ないと……と説いても、「必要性を感じない」と返され、
誰かとお話しすれば……と説いても、「相手に気をつかう」と返される。
まず、行ってみましょうよと誘えば、「そうした行為自体がイヤなんだ」といわれ、
だまされたと思って行くだけ行ってみませんか? と誘ったところで、
「得るものはなかったし、話も合わなかった。だまされた気分しか残らなかった」
といわれてしまう……
のだろう。
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