浜辺の診療室から

閑話   高齢者は孤独な人    老いあれこれ(その8)

jyuuminn
なぜ高齢者を地域に引っ張り出したいのか。
そっとしておけばいいではないか、といった意見に対する答えは、さまざまだった。 
 
認知症の進行を防止したり、ロコモ症候群を増やしたくないからだろう。
寝たきりになりゴミ屋敷になると、住民を含めた周囲が困るからではないか。
町内から孤立死、孤独死、変死をたくさん出したくないのではなかろうか。
高齢者を地域へ引っ張り出したい気持ちはよくわかる。二世帯住宅・三世代で
暮らしているが、ますます頑固になっていく父(母)に、お手上げ状態だから。
 
 「退職を機に褪せてしまった夫との同居は、限界に近い」
静かに、そう語った人もいた。
しかし60代の女性は、老人不在の話をしても始まらないといった。
「ゴミ屋敷で困るのは住民。
孤立死を出したくないのも住民。
でも住民というときの年齢層は、働き盛りを中心とした人たちでしょう。
高齢者と同居していても、あるいは退職後であっても、
マジョリティである自活可能な人たちが困る問題として、ゴミ屋敷があり、孤立死がある。
しかし、足腰が弱くなって、老いさらばえた老人の意見がどこにもないのでは?」  
 
万事休すと思われたとき、それまで黙っていた50代の女性が口を開いた。
「老人は孤独だからよ。
孤独は外に向かう気力を萎えさせる。
そっとしてばかりいてはいけない理由は、そこ。
高齢者の心底に眠る孤独の存在を、忘れてはいけない」 

語り出したのは、デンマークの話だった。

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