浜辺の診療室から

閑話   自力で生き抜く姿勢    老いあれこれ(その11)

他人の手を借りることなく、自力で生き抜こうという姿勢。
これは、プロテスタント思想そのものといっていい。
デンマークの宗教は、ルター派のプロテスタントが主流である。
規律や自立・自律がキーワードとして重んじられる。 
 
プロテスタント思想は、臓器移植や脳死の解釈にも影響を与えている。
デンマークでは住民登録をすると、医療を無料で受けられるIDカードが送られてくる。
そのカードとともに送られてくるもうひとつのカードが、ドナー登録申請書だ。
簡単なチェックを済ませて投函すれば、登録終了といったシステム。
それは、自力で生きることができなくなったのなら、
慈悲行為として臓器を差し出すのは当然、といっているようにもみえる。
 
 ともあれデンマークが、思い切った高齢者福祉政策を取れた理由。
それは、デンマークが高齢社会に突入したからではあるが、
大きな財政赤字を解消するために、
抜本的な高齢者対応策を打ち出す必要があったからでもある。
背に腹は代えられない、起死回生の妙案が求められた時代だったのだ。  
 
 
しかしデンマークもバブルが崩壊した日本と同様、
1990年代以降は、新自由主義的な考えに染まっていく。
教育に競争原理が入り込み、
非行化する若者が目立つようになった。
地域格差が固定し、雇用状況は悪化し、
公共福祉やセーフティネットも脆弱化した。
精神疾患が増え、薬物乱用者も増えるなど、
健全さが失われているのが、この20年間だったといえる。 
 
諸行無常というように、すべては時とともに移りゆく運命にあるのだろうか――。
 
kyoukai

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