浜辺の診療室から

ひとり残されて     老いびとのこころ(その1)

『高齢者の孤独――25人の高齢者が孤独について語る』から、
それぞれのモノローグに耳を傾けてみよう。
老いびとのこころを、知ることができるかもしれない。 
 
「夫は亡くなり、私は一人になりました。
それは、人生最悪の出来事でした。
幸い私には子どもや甥・姪、孫もいますが、
の代わりになるわけではありません。(中略)
私の家には恐ろしい空虚感が漂っています。
夫が亡くなった後しばらくは、
私は居間にいることができませんでした。
誰も座っていない椅子をみるのが耐えられなかったので、
なるべく書斎で過ごしました」 
 
どうしようもない気持ちを、どう制御すればいいのかという静かな叫びは、 
日本にいても、ときどき聞こえてくる。
 
配偶者を失っていたたまれず、家を飛び出した人の心境は辛辣だ。
「妻の死後1年間、
私にとりついて、私の思考力と健康を脅かした孤独感を
決して忘れることはないでしょう。
眠りながら、ベッドのなかで妻の手を探したあの辛い夜。
妻のいないことに気づいて
絶望的な気持ちで掛布団を床に投げつけ、
ベッドから飛び降りると服を着て
家から逃げ出してさまよい歩き、
気がつくといつも墓地に行っていました」  
 
似た境遇にある高齢者は、 現にわたしたちが暮らす町にもおり、
 
しかもこれから確実に増えていく――。
注)括弧内引用は『高齢者の孤独――25人の高齢者が孤独について語る』
(新評論版 2008年)による。以降も同じ。

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