浜辺の診療室から

むなしい“孤食”     老いびとのこころ(その6)

「料理好きな私ですが、
食べる時には気に入った食卓には座らないようにしています。
なぜなら、食卓で食べると
自分自身と『お客さまごっこ』をしている気分になるからです。
そこで、食事はテレビのニュースを見ながらソファテーブルでとっています」 
 
「一人で食事をつくるのも孤独ですが、それを一人で食べるというのも
それ以上に孤独なものです。
二人で食べるときとはまったく違う味がしました。
そのほかの家事も私の苦手とするところで、
しなければならないことをつい先延ばしにしてしまいます」 
 
「一人で食事を食べなければならないのが辛いです。
たまには凝ったものをつくってみよう、などという気持ちは
失せてしまいます。
自分以外に誰が食べてくれるというのでしょう?
だから数食続けて同じものを食べることもよくあります」  

 
人は、食べなければ生きていけない。
の給与では食べていけないと、若いとき嘆いた覚えがあるけれど、
そのときは本当にそう思った。
コイン数枚がないことの怖さを、
陳列された調理パンやカップ麺を横目に、知った。 
 
でも、どうにか食べていけるようになり、
一緒に食べてくれる人がいなくなったいま、
食べることだ・け・で生き長らえるものかどうか、
老いびとは疑問に思う。
ki77/25

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