浜辺の診療室から

動ける孤独と、動けぬ孤独のギャップ     死と向き合うこころ(その4)

「最低でもどうにか動ける状態」で感ずる高齢者の孤独と、
「もはや自力では動けない状態」で感ずる孤独のあいだには、
ギャップがあるようにみえる。
理由は、高齢者が置かれた状況に、天と地ほどのギャップがあるからだろう。                       
 
けれども、そう解釈している「わたしたち」が、ギャップを増幅させている可能性はないか。
もはや自力では動けない状態を、
人間性の総力が低下した状態であると、考えていることはないか。
孤独感にさいなまれているといったところで、
自力で動けない状態なら、わ・た・し・た・ち・ほど孤独ではないのでは?
と、涼しい目で眺めていないか。
まるで、モノをみるように……。   
 
 
 
有限の時間で生きるしかないことを知ってしまった人間にとって、
孤独は重たいにちがいない。
しかし、考える力が残された老いびとの多くは、
程度の差こそあれ、
来たる“死”をみつめているようだ。
 
とはいっても、……死を経験した人は、誰もいない。  

 
経験したことのない死を、死から離れた世界で考えてみたいのであるなら、
死に近いところで考えた人たちのメッセージを、
もう少し知っておきたいと、
わたしは思う。
                                                                
                                                                
                                                                

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