浜辺の診療室から

死への使者は唐突に     死と向き合うこころ(その13)

kunou
人はなぜ、死という“別れ”に対して、あまりに準備をしていないのか。
それは死への使者が、唐突に乗り込んでくる無法者だからと岸本さんはいう。 
 
死は、突然にしかやってこないといってもよい。
その当事者は、突然に来たとしか感じないのである。
生きることに安心しきっている心には、
死に対する用意が、なにもできていない(中略)。
ちょうど、きれいにそうじをした座敷に、
土足のままで、ズカズカと乗り込んでくる無法者のようなものである。
(『死を見つめる心』から)  
 
しかも死への使者は肉体的な苦しみを右手に、
精神的な苦しみを左手に持って、馳せ参ずるのだという。
 
 肉体的な病気の苦しみは、かりにそれが苦しくなくても、
それは、死にいたるまでの、ことである。(中略)
死自体を実感することのもたらす精神的な苦しみが、いかに強烈なものであるか、
これは、知らない人が多い。
いな、むしろ、平生はそれを知らないでいられるからこそ、
人間は幸福に生きていられるのである。
しかし、死に直面したときには、そうはいかない。
人は、思いしらされる。
その刺し通すような苦しみが、いかに強烈なものか、
そのえぐり取るような苦しみを、
心魂に徹して知る。
(『死を見つめる心』から) 
 
刺し通すような苦しみ、えぐり取るような苦しみは、肉体的苦痛よりも、
死への“実感”がもたらす精神的苦痛のほうに宿っていると、岸本さんは説く。

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