浜辺の診療室から

垂直的振動     死と向き合うこころ(その14)

肉体的苦痛と精神的苦痛については、
解剖学者・細川宏さんが、詩のなかで触れている。
「垂直的振動」と「アンプリファイヤー(増幅器)」2編を紹介しよう。
 
ここ年余にわたる病苦の連続
手をかえ品をかえての肉体的苦悩の連続には
正直なところ僕もいささかグロッキーだ
しかもいっこうに上向き体勢の兆しは見えず
一進一退の果てしない苦痛の連続
どうなとなるようになってくれるがよい 
 
それにしても不思議なものだ
健康な頃の僕の生活は今から考えると
いわば平面的空間の中の生活であったのに
今日この頃の僕は
病苦の激しさに比例して
深さのある何かの中に生きている
奇妙な病者の錯覚か 
 
それとも健康者の心は水平方向に振動し
病者のそれは垂直振動をするのかな
肉体的苦痛に比例した振幅の深さで 
(『詩集 病者・花』から「垂直的振動」)  

 
病気
それは心のアンプリファイヤーだ
苦痛 寒暖 快不快 悲哀 歓喜 静寂 騒音 美醜 善悪 真贋 etc.
もろもろの心理現象の図形が
プラスの方向にもマイナスの方向にも
はっきり増幅され
きわ立った映像を病者の心に結ぶ
(『詩集 病者・花』から「アンプリファイヤー(増幅器)」)
annputikuonnki

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