浜辺の診療室から

若竹のようにしなう心     死と向き合うこころ(その15)

病者の苦悩に近づくため、細川宏さんの詩をもう2編ご紹介する。
 
 苦痛のはげしい時こそ
しなやかな心を失うまい
やわらかにしなう心である
ふりつむ雪の重さを静かに受けとり
柔らかく身を撓(たわ)めつつ
春を待つ細い竹のしなやかさを思い浮かべて
じっと苦しみに耐えてみよう
(『詩集 病者・花』から「しなう心」)  
 
 
病苦は
人の心を耕す「すき」である
平板にふみ固められた心の土壌を
病苦は深く深くほりおこし
ゆたかな水分と肥料を加えて
みずみずしく肥沃な土壌にかえる
「深く」「肥沃に」をモットーとして 
 
病苦に耕された人の心は
よわよわしく軟らかいが
柔軟にしなう強靭さをもっている
そしていろいろのものを生み出すゆたかさと
謙虚にものを見、「美しきもの」を讃嘆し
事の真贋を見ぬき
すなおな喜びと悲しみに感動する 
 
深い深い苦痛の中にある
一種清浄なさわやかさ
自然が病苦に与える
せめてもの代償なのであろうか
(『詩集 病者・花』から「病苦と心」)

ttikurin

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