浜辺の診療室から

笹と木の葉    本日休診その1

春の不安定な天候も去り、休診日の今日は快晴となった。相模湾が青い。
午前に本を読む。買ったのにまだ読んでいなかった本や、
読み返してみたい本があったことに気づいたからだ。
手に取った本の奥付は「昭和63525日発行 平成492023刷」。
版を重ねた平成4年以降に入手した本だったと知る。
収録されたショートエッセイに、
作家宇野千代さんによる「風もなく散る木の葉のように」があった。 
 
人間は必ず死ぬものだと千代さんがふと感じたのは9歳のとき。
「笹が鳴っている――。
もし、私が死んだら、もうあの笹の鳴る音は聞こえなくなる」
と思ったときだそうだ。
その後、中村天風という人から、
“人生125年説(125歳まで生きられるという説)”を聞いた。
当時90歳だった千代さんは、あと35年生きなければならないと思ったという。
天風さんは「人間は何事も自分の考えた通りになる。
自分の自分に与えた暗示の通りになる」といい、
「出来ないと思うものは出来ない。出来ると信念することは、
どんなことでも出来る」といったそうだ。
その話を聞き、それまで『おはん』以来178年の間、
一行も書けなかった千代さんは、途端に書けるようになったと語っている。 
 
「私は自分がボケるなぞとは思えないのです。
ボケないと思えば決してボケることはないのです。(中略)
寿命の尽きた日、秋になって風もないのに
木の葉がポトリと落ちるように死んで行く私であると、
私には思われるのです」と締めくくった千代さんは、
それから8年生きた98歳で生涯を閉じた。
死因は肺炎。都内の病院で亡くなっている。

ウィキペディアには「結婚離婚を繰り返すたびに家を建て替え、『数えて見ると、十一軒
建てた勘定になるから』と、それを『私が建てた家』という随筆にしてしまったり、
長寿で、それを『私何だか死なないような気がするんですよ』という書名のエッセイに
まとめてしまったりする愛嬌があった」と紹介されていた。
 
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