浜辺の診療室から

高齢者のベクトル合わせ(2)  本日休診その4

531日の医師向けニュースに「高齢者肺炎を《治療しない》選択肢に踏み込む」と
題された記事があった。ガイドライン案の段階だから決定事項ではないが、いずれ指針
になっていくと思われる内容である。
記事によると、肺炎は成人市中肺炎(CAP)と、成人院内肺炎(HAP)または医療・介護関連
肺炎(
NHCAP)に大別して対応することになる。
成人市中肺炎とは、外来レベルでみられる
肺炎のこと。
成人院内肺炎とは、入院後48時間内に発症する肺炎のこと。医療・介護関連肺炎とは、
介護施設入所者や入退院を繰り返す患者、透析などで頻繁に通院治療を受ける患者に起こる
肺炎のこと。
 
 病院で診断された肺炎は、外来レベルでみられる通常の肺炎と、そうでない肺炎を分けることが
最初に求められる。院内肺炎や医療・介護関連肺炎と判断されると、患者の状態が“終末期または
老衰”かどうかが次に評価される。そこで「イエス」つまり終末期や老衰に該当するのであれば、
「個人の意思尊重、
QOL優先」という方向に進む。そこから“治療”に向かうフローチャートは「ない」。
終末期や老衰に該当しない場合は、誤嚥性肺炎の有無が評価される。それ以降は従来の治療と
変わらない。
 
 「原因菌や重症度評価よりも先に患者背景を考慮することを推奨する形になっている」と、
記事にはコメントされていた。患者背景によって治療方針を振り分ける理由は、ガイドライン
作成委員の意見がわかりやすい。
「寝たきりやサルコペニアがある高齢肺炎患者の場合、
適切な抗菌薬治療が必ずしも生命予後を改善するとは限らない」「
30日後から1年後と
いった生命予後に影響する因子としては、抗菌薬治療よりも低アルブミン地症などの栄養状態や
寝たきりといった宿主因子の影響の方が大きい」(門田淳一医師 大分大呼吸器・感染症内科教授)
「治療が患者にメリットをもたらさない、あるいはむしろ害になるというならば、差し控えるという
選択肢を常に想定するように考えを変えていくこと」(河野茂医師 長崎大理事)
 
 
委員たちの意見は、高度認知症がある施設入所者で肺炎を発症した例を観察した米国からの
報告がベースになっている。そこには
2つの結論が示されている。
    抗菌薬治療を「行わなかった」群は、治療を「行った」群に較べて、生命予後が低下
 していた。
    90日以内に死亡しなかった患者群でQOLを評価した結果、「抗菌薬治療を行わなかった
 患者の
QOLが最も高く、積極的な治療を行うほどQOLは有意に低下」していった。
huukei

<< 高齢者のベクトル合わせ(3)  本日休診その4   高齢者のベクトル合わせ  本日休診その4 >>

お電話番号でのお問い合わせ 0465-64-1700 メールでのお問い合わせ

お問い合わせ・資料請求