浜辺の診療室から

それでもガンがいいですか?    本日休診その23

このところ、50代前半の知人からよくメールが届きます。
ガンがみつかったため市の基幹病院で手術を受け、
そのあと抗ガン剤治療を受けました。
しかし便は出ず、尿も出ず、
尿路感染症をくりかえすなど、
あれやこれやもろもろ悪い状態のなか、
自宅での生活がやっと可能になったと判断され、
先日退院となりました。
しかし退院後も体調は思わしくないようです。
昨日はこんなメールでした――。 
 
 
ガン細胞もたぶん
 
もう全滅しているのではないかと思っています。
 
本体もかなりのダメージで、
 
早くも髪が抜け始めたので、
 
カツラの準備を急がなくてはと
 
今頃がんばっています。
 
抗ガン剤は一度でいいと思っていたけれど、
 
周囲から許されない雰囲気で、
 
あきらめました。
 
体が治療に耐えられれば生き残り、
 
ダメなときはすべていきなり、
 
ジ・エンドではないかと思います。
 
あたりまえなのでしょうけど、
 
不思議な気がします。
 
 そのむかし、ノンフィクション作家で評論家でもある人が、
死ぬなら自分はガンがいいと語っていました。
残された時間で人生を総括できるからというのが理由でした。
家族とともに、家族との距離を縮めながら、
一瞬一瞬を精一杯生き抜くことができる理想的な最期。
いわば豊かな死が迎えられるというのです。 
 
たしかにガン治療は進みました。
けれども家族と縁遠い人もいれば、
恐怖から逃れられない人もたくさんいます。
一点をじっとみつめながら生きている担ガン患者たちのことを、
いまは考えていたいと思うのです。
baranohana

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