浜辺の診療室から

職場教育に必要なもの   本日休診その31

nayamuhito
もう仕事は続けられないといった結論を
聞かされたことが、何度かありました。
しかしその都度、同じことを感じました。
  
それしきのことで、どうして悩むのか。
  
なぜ友人や家族、同僚や上司にもっと相談しないのか――。 
 
他人からすれば些細なことでも
本人にしてみれば大問題であることはわかります。
けれども、そ・れ・を・理・由・に・仕事ができないというのは、
ちょっと違うんじゃないか……と思えたのです。
 
 その後、何年かが経ち、
人が凹む理由が多岐に渡っていることを知りました。
たとえば、職場教育がそうでした。
   
やってみせ 言って聞かせて させてみて
  
褒(ほ)めてやらねば 人は動かじ
という山本五十六さんのことばが有名ですが、
職場教育では、これを修正した方法がよく採られます。
   
やってみせ(こうやるんだよ、と目の前で自ら披露する)
   
言って聞かせて(ツボはココで、カクニンするのはコレなど)
  
させてみて(実際にやってもらう)
  
ふたたび言って聞かせて(ココが違っていたね、こうだったでしょ?)
  
させてみて(修正されたか確認する)
  
……(繰り返し)
  
褒(ほ)めてやらねば(完成に近づいたら、しっかり褒める) 

けれども新人教育や中途採用者への教育で
この思想に基づいたOJTは、さほど行われていませんでした。
ある人はお手並み拝見とばかりに、いきなり「やってみせてよ」といわれ、
ある人は何度問うてみても「自分で考えて」と突き返されました。
 
「どうやるのかワカラナイ。いまさら訊けないし」
 
「わたしは単なる“便利屋さん”として使われているだけ」
 
「誰かの役に立っていると思えなくなった」
といったことばを最後にもらして、
新人や、中途採用者の何人かが職場を去っていきました。
就職氷河期と、それ以降に多かったでしょうか。
 
 
  ところで山本五十六さんのやってみせ……には、
 
以下の文言が続きます。
 
    
話し合い 耳を傾け承認し 任せてやらねば 人は育たず。
   
やっている 姿を感謝で見守って 信頼せねば 人は実らず。 
 
まだまだ不完全だと感じて「だから、そこは違うんだって!」
とつい口を開きたくなっても、
教える側はじっと見守る姿勢が大事なのです。
寛容さと包容力がいっぱいある環境で、
人ははじめて育ち、やがて実っていくのです。 
 
大事なことは、むかしから少しも変わっていない――
本当にそう思います。 

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