浜辺の診療室から

経験者たちのことば    本日休診その33

今年も残すところ、あと一週間ほどになりました。
そんななか、特養入居者に体調不良の方々が出ました。
休診日の夜から、祝日にかけてのことでした。
調べてみたら、それぞれが異なった感染症でした。
特養を持つ法人の診療所は、休日も祝日も「なし」です。
生身の人間が100名ほど暮らしており、
そこで体調不良者が確認されたのであれば、
連絡を受けて対応するのは当たり前のこと。
 
 ……そうした気持ちが、じつは燃え尽きや過労と
背中合わせであることは、承知しています。
しかし、若いときとちがって、いまは
“雑用”もなければ、名ばかり会議も当直もありません。
燃え尽き事例や過労事例と向き合ってきたノウハウもあります。
それが経験というものでしょうか。
――そういえば、
提示された意見に共感を覚えたことが、今年もありました。
ひとつは五木寛之さんの意見。
嫌老社会ということばを広めた背景には、
少子高齢化を憂い、若者たちの行く末を案じた姿勢がありました。
いまひとつは、養老孟司さんの意見。
参勤交代の現代版を提言されました。
当地湯河原・真鶴地区には、現に“参勤交代”をしている人や、
参勤交代の主従関係が逆転して、当地を本拠地にしてしまった人が
想像以上にいます。
もうひとつは、樋野興夫さんの意見。
第一線の病理学者でありながら、がん哲学外来を提唱し、
お茶とお菓子だけでがん患者と向き合われています。
    
同じ人間として向き合い、
   
対話のなかで相手の心の隙間を見つけ出し、
   
その隙間に光を差すような言葉を選び出す。
 
 内村鑑三や新渡戸稲造、恩師の病理学者たちの教えを
自分のなかで消化し、脳内の引き出しをすべてひっくり返して
放つ言葉を選ぶということを、樋野さんは2008年からされています。
 
経験ある人たちの意見には、きらりと光る部分があります。
五木さんと養老さんは80歳前後で、樋野さんはぼくと同年代。
良かったこと、悪かったこと、
楽しかったこと、辛かったこと……。
どの経験にも味があります。
そしてすべての味は、時間をかけて熟成します。
確実にね。
gennkouyousi

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